朝3時半に羊羹の行列にならぶ-吉祥寺 小ざさ(2013年7月28日)
眠れなかったので、小ざさ(おざさ)の羊羹を手に入れようと考えた。
『小ざさの羊羹』は、1日150個限定で1人3個まで販売される。それを手に入れるためには夜明け前から行列に並び8時15分に配布される整理券を入手し、10時の開店時に券と引き換えに羊羹を入手することができる。別名「幻の羊羹」税込1個675円(2013年7月現在)
公正を保つため社員、社長ですら列に並ばないといけない厳格ルールになっているらしい。本によると障がい者のかたも正社員として同じ待遇で雇用しているという立派なお店である。
1坪の奇跡―40年以上行列がとぎれない 吉祥寺「小ざさ」味と仕事
- 作者: 稲垣 篤子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2010/12/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自宅から吉祥寺まで自転車で約10分。
店舗の向かい側の建物の軒先から伸びる列があった。
先頭2人はダンボールの上で睡眠中、3番目はパイプ椅子に座り俯き、4番目は携帯で通話中。「小ざさの列ですか?」と確認をとり、隣の吉野屋で腹を満たしてから3分後戻ると順はかわらない。
5番目にコンクリの上に直に腰をおろす。
4番目の自分と同年代の男性と与太話をしながら時間をつぶす。
明日実家の長野に帰る土産のためにはじめて並んだそうだ。友人が以前3時の時点で50人以上並んでいたため断念したと聞いて2時台に並んだという。
「どんな味するんでしょうかね。楽しみですねー」
「美味しいでしょうが、あずきと砂糖ですからねー。いい素材を使っていても羊羹は羊羹の味でしょうね。」
「たかが羊羹に私らなんで必死なんでしょうかねー。ワッハッハー」
「ディズニーの行列ですら耐えられないのに、引換券まで6時間、10時の開店まで2時間、合計8時間ですよ。その時間で時給1000円のバイトでもやれば、高級焼き肉でも食えますよねー」
「やってられませんねー ワッハッハー」
6番目は4時過ぎに「こんばんわ〜」とやってきた。たまに並ぶという高齢男性。
その方も交えて雑談しつつ最近の小ざさ事情を聞かせてもらう。
5本買えたのが3本になったのは2年前。誰かが「30人限定だと多くの人が買えないじゃないか」としつこく苦情を言ったらしいです。
7番目はその30分後にやってきた。6番目と顔見知りだという中年女性。
「今日は少なめね」と少し驚いている。最近は同時刻の4時過ぎると30人近くになるそうだ。
10人に満たないのに、11番から30番の位置に陣取る人が現れた。
そこに痩せたおばちゃんが2往復して椅子を運び組み立てる。
「あの人がリーダーで、いつも小ざさの行列を仕切ってる。」
6番目のおやじさんが教えてくれた。
リーダーが登場後は続々高齢者軍団が10人位登場しお仲間のお茶会がはじまった。
乾物屋前の11番以降がリーダーを含む小ざさレギュラー組の定位置だそうで、
「前の列がまだ空いてるよ」と、一般人で8〜10番を埋めていく。
今日はスローペースだったそうで、限定の50人になったのは6時近くだった。
2013年7月現在の並びルールは以下のとおり。
1から10番目までは小ざさの店舗向かいのコメダ珈琲のビルの下に並び、11から~30番は、はす向かいの乾物屋の軒先、31から34番は、小ざさのまえに東の方向に並び、35番以降は隣の練り物屋を越えた先から並ぶ決まりということだ。
8時15分、引換券が配布された。(当日限定)
券の転売を防ぐためにカーボンコピーの名前と電話番号を照会することになっている。
一旦自宅に帰り11時に再訪。商店街のシャッターが開き、にぎわいはじめると街の印象がまったく違う。
昼間の行列は隣の吉祥寺肉のさとうの 名物メンチカツが有名だが、早朝の小ざさの羊羹行列を知らない人は多い。知られざるプレミア羊羹。
ということで自宅にお持ち帰り。
6番目のおじさん曰く、「すぐ食べても美味しいが、1週間、1ヶ月寝かしても味がかわってきてそれもウマい。」らしい。
賞味期限は12月28日なので5ヶ月間
食べ比べ用に西友で49円の羊羹を購入しました。
右手前が小ざさのようかん。左が49円のようかん。
試食の前に思い出話。
小ざさに並んだのは2回目で約20年前の23歳時。
1人で参加したイタリア旅行ツアーで同行だった老夫婦に写真を撮ってあげたり、お土産を選んであげたり、同じテーブルで食事をしたり、安かったのでまとめ買いした絵を分けてあげたりしたら帰国後、「あなたのおかげでこれまで最高の旅ができたのでどうしてもお礼がしたい。」そんな手紙が2回も届いてしまったので、ご招待を受けることにした。
手紙で皇族のお屋敷の隣に住んでいること、旦那さんは大会社の重役を務めた人で、奥様は食が趣味でデパ地下から老舗から美味しいものを食べ尽していることが分かった。
それに対し自分はカツカツの生活だったので困ってしまった。「予算1000円までで極上のギフトどこかに売ってないですか?」と会社のお姉様(美人)に相談した。「あるわよ。入手困難で私も食べたことがないけどね。」と教えてもらって3時に並んで入手したのが「小ざさ」の羊羹だった。
当時5本まで購入可能で1本500円。予算の都合で3本だけ予約。(1本はお姉様にお礼用)
31番以降も人は望みの薄い可能性をかけて列に並ぶらしく「君のおかげで幻の羊羹を買うことができたよ」と興奮口調で感謝されてしまった。
昼、緊張しながら羊羹2本をお土産に、皇宮警察がにらみをきかせる坂道を抜け高級マンションに到着。
俺「安いもので申し訳ないですが羊羹です。どうぞ。」
グルメの目が鋭く光り、驚く奥様
「えっ、小ざさ?吉祥寺の。 んまぁーー羊羹じゃないのよ!!私達の為に並んでくれたの!!(キィイーー)本当にすごいわ。」
俺「ご存知でしたか。並びました。2本だけですいません。」
と過剰に感激してもらえ、お昼だけのご招待のはずが夕飯まで引き止められてしまった。「幻の羊羹」はお金では買えない価値があった。
美食夫婦の食卓は、見かけの普通さとのギャップがありすぎた。
卒倒しそうな極上の新米、アブラの乗り具合が我を失う銀ザケの切り身は焼き加減が絶妙、醤油、野菜、漬け物すべて絶品。何かわからないが口の中から脳みそまでお花畑が咲き乱れる究極のあれこれ、なぜか果肉がオレンジ色になっている香り漂うメロン(はじめての夕張メロン)が続いた。
「幸せってこういうことか」と心で泣きつつ『羊羹みんなでいただきましょうかねえ』の一言をいつまでもいつまでも待ち続けた。いつまでもいつまでも。。
ということで20年間おあずけだった、“まぼろしの羊羹”を妻と同時に口にした。
「これ、伊勢名物○福の餡とかなり似てるよね」「こしあんの滑らかさ、甘さ加減といい○福そのもの。」「ペースト状か固めてあるかの違いで、羊羹を口の中で溶かせば○福の餡。餅と一緒に羊羹食べれば○福」「まあ確かに美味いと言えるわな」12年目の夫婦の味の感想は満場一致でピンクの和紙のパッケージの『あれと一緒』。
○福は名古屋駅で年2回必ず買う程度に好きなので間違いない。
煎茶で口をあらい、49円のようかんと比べてみました。
「まあまあ、これもおいしいわな。外側と内側と食感が違うけど。小ざさとは滑らかさが全然異なるって感じ。甘さは甘いけどなんか(別物)という感じ」
原材料は小ざさが「小豆、砂糖、寒天」なのに対し、49円は成分いろいろでした。
食べてて感じたのは49円は1切れで十分。幻の羊羹は1人で1本まるごといけそうで飽きてこない。
しばらく寝かして味の変化を試してみたいと思います。
■今では小ざさ幻の羊羹、ヤフオクで買えます。おざさ 羊羹 オークション
しかしつくる側の思い、ありがたみは並ばないと伝わりません。
■小ざさにならぶ場合の参考
椅子を持参するのをオススメします。
トイレは近くの飲食店のを借りるそうです。吉野家とかマクド、コンビニ。
吉祥寺は駐輪場以外に自転車置いてはいけない条令だが、整理券配布時間はほとんどの店舗営業前なので乾物屋の前に駐輪okという早朝おざさ特例があるらしく自分も自転車移動しました。
場所とりで1時間以上放置が続くと、最後尾にされてしまうそうです。
冬場はカイロも効かない寒さだそうです。
すぐ食べても美味しい。しばらく寝かしても深みがでて美味しい。
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この記事を書いたあと、下記のメディアにストーリー的な文体ごと無断でパクられました。(2016年10月追記)